【第 20回 ちょこのちょこっとした話】
【騒音夫婦】
約10年前、ちょこの住むマンションに年の差夫婦が引っ越して来ました。
旦那さんは既に70歳代のおじいちゃんで、身長が高くてアニメ(マンガ)『進撃の巨人』に出てくる巨人みたいな人です。
奥さんは50歳代で、太っていてコロコロとした達磨(だるま)みたいな人です。
ココではわかりやすく、「巨人さん」「達磨さん」と書きます。
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この夫婦、引っ越してきた日から変でした。
夫婦共に無職なのですが、毎日夜7時頃から掃除と洗濯をするのです。
掃除機の音が半端なくデカくて、多分工場で使うような爆音掃除機だと思うのですが、毎日天井〜壁〜床まで、
「ゴーゴーゴーゴー、ガーガーガーガー」
「バンバンバンバン、バンバンバンバン」
「ゴーリ、ゴーリ、ガーリ、ガーリ」
爆音掃除機で狭い部屋中を毎日2時間以上かけて掃除機するのです!!
掃除機が終わると、
「ドンドン、ドンドン、ドンドン、ドンドン」
「ドンドン、ドンドン、ドンドン、ドンドン」
「ドンドン、ドンドン、ドンドン、ドンドン」
「ドンドン、ドンドン、ドンドン、ドンドン」
部屋中の壁を床をハエ叩きのような物で夜9時頃〜11時頃までしばくのです。
その後深夜に、洗濯物をベランダに干すのです。
古いマンションですし、夫婦の部屋は上階ですので、掃除機の音もドンドンする音も1階〜両隣ずっと先の家まで聞こえています。
我が家では「ドンドン、ドンドン」と聞こえるのでこう書きましたが、他の家では「トントン、トントン」とか「バタバタ、バタバタ」とか微妙に違う音が聞こえるようです。
このドンドンする音、最初はコンコンと小さな音でしたので、内職でもされてるんだと思い、引越し当初は我慢していました。
1ヶ月もすれば、このコンコンする音がドンドンとハッキリ聞こえるようになりました。
その頃、達磨さんが耳の聞こえない障害のある方ではないかと疑うような出来事がありました。
ちょこが1階のマンションの入口で達磨さんに会った時、
「こんにちわ❗️」
と元気良く挨拶したのに、返事が返ってこなかったのです。
その事をママのかにこさんに話すと、
「引っ越しの挨拶の時も、知らない女の人と達磨さんが来て、女の人だけが挨拶して帰ったわ。後ろにいた達磨さんは無表情で一言も喋らなかった」
と言いました。
(後にこの女の人は、巨人さんの妹さんとわかりました)
障害のある方に文句を言っても…と、しばらく様子をみようという事になりました。
ある日の事、かにこさんが言いました。
「今日達磨さん、同じ階の奥さんと楽しそうにお喋りしてたで」
そう、達磨さんは普通に会話のできる女性だったのです。
ご近所の人から、
「先住人に挨拶もせず、馬鹿にしてる」
と聞き、こんな夫婦をいつまでも野放しにはできない、毎日続く掃除機の爆音とドンドンする騒音をどうにかしようと思いました。
障害のあるなしに関わらず、共同住宅に住む以上良い事悪い事知ってもらわなくてはなりません。
旦那の巨人さんは健常者です。
もし達磨さんが耳が不自由でドンドンしているならば注意する立場です。
ところが、騒音の中心人物がこの巨人さんなのですから開いた口が塞がりません。
とりあえず近所のおばさんが、夜7時からの掃除機を止めるように忠告してくれました。
田舎では夕食を家族で食べる習慣があります。
「一家団欒を掃除機の爆音で壊さないでほしい」
と、言ってくれたようです。
そのおばさん、
「次はドンドンする音も言うわ」
とちょこに言ってくれてたのですが、その後入院してしまいました。
掃除機は、昼の時間帯に移りましたが、ドンドンする音は相変わらず夜11時まで聞こえていました。
マンションの組合長に相談しましたが、
「夜11時までの騒音は注意できない」
と言われたのです。
後で知った事ですが、マンションの管理会社では、「昼間でも騒音と生活騒音を区別して注意して下さい」と組合長には言って下さっていたそうです。
組合長は、夫婦と日頃から仲良く、ちょこ達の話を真剣に考えてくれていなかったのです。
ある日、食器棚の上に置いてあった頂き物の食器が床に落ちて粉々になってしまいました。
立て掛けてあった充電式掃除機が、何回と倒れて、とうとう壊れてしまいました。
テレビの画面が日によって映りが悪くなるので、電気屋に来て調べてもらった結果、振動の所為かもしれませんと言われました。
食器棚の食器が落ちて割れたのも、掃除機が壊れたのも、ドンドンする騒音からの振動のせいだと家族で結論に達しました。
翌日、渋々かにこさんが、夫婦に言いに行きました。
「古いマンションなので、ドンドン響くんやけど、、、」
と、やんわり丁寧に言うと、達磨さんは、
「我が家ではないです。そんな音、聞こえた事がないですよ」
と言ったそうです。
当たり前です。
自分達夫婦が出す音ですからね。
気の弱いかにこさんは、反論する事なくトボトボ帰って来たようでした。
翌日から数日は静かな生活に戻りました。
「やっぱり騒音の犯人は夫婦やったんやね〜」なんて家族で話していました。
ところが、数日後ドンドンする音は、時間帯関係なく1日に数回位に分かれて聞こえるようになりました。
嫌がらせでしょか?早朝5時頃から深夜2時位まで聞こえてくるようになったのです。
この頃からちょこは個人的に、管理会社や市役所などに相談していました。
というのも、夫婦は掃除機の件で注意したおばさん宅に侵入して、現金を盗んだと噂が広がっていたからです。
おばさんが入院した際、見舞いに来た達磨さんを、
「泥棒ーーー出て行けーーー❗️」
「金返せーーーーーー❗️❗️」
と、病室から追い出したそうです。
このおばさん、関東の方に豪邸を建てて妹さん夫婦に貸してるらしくて、見た目からして金持ちなのです。
達磨さんがおばさんの買い物に同行しては、色々買ってもらっていた事は近所でも有名でした。
おばさんは猫ちゃんと2人暮らしでした。
おばさんが入院する前、頻繁に通院していたらしく猫ちゃんのお世話の為に合鍵を夫婦に預けていたのです。
その間にタンスの中に入れていた現金がコツゼンと消えた、とご近所の人に愚痴をこぼしていたようです。
おばさんが入院中、夫婦の金遣いが荒かったのはちょこもハッキリ覚えています。
毎日のようにトラックが来て、ベッド2台(飾り棚の付いた豪華なベッド!)、ゴージャスな敷物、その他電化製品を新しく買い替えていました。
(夫婦は、達磨さんのお父さんが亡くなって遺産が入ってきたと言ってたそうです)
この夫婦に小銭入れを盗まれたおばあさんも現れました。
おばあさんの話では、バス停で3人一緒にバスを待ってるフリをして、買い物袋から小銭入れを盗んで去って行ったそうです。
追いかけようとしましたが、巨人さんに一発でも殴られたら怪我するだけではないと、500円入った小銭入れを泣く泣く諦めたそうです。
こんな話をご近所の方とコソコソ話をしていると、達磨さんは家から出て来て、急に会話に入って来るのです。
巨人さんは、玄関の前を掃除するフリして聞いていたりするのです。
近所の人から、巨人さんがちょこの家の玄関前のドアにへばり付いていたから、気をつけるように忠告されました。
後に達磨さんがかにこさんに、
「玄関で話をしていたら外まで会話が聞こえるから注意せなあかん、ってお父さん(巨人さん)に言われてるねん」
と、言ったそうです。
家族からも、この夫婦に近づかない方が良いと言われました。
そんな事で引き下がるちょこではありませんから❗️❗️
ちょこが個人的に動いたように、ご近所の人も個人的に動いてたようでした。
朝昼晩と夫婦宅に男性がやって来て、
「ドンドンうるさいので静かにしてもらえませんか?」
と言われていました。
「ドロボー警察呼ぶぞー!」
「うるさくて寝られへん!」
「ベランダに干した布団を叩くな!」
「ベランダに水を撒くな!」
「部屋の中を走るな!」
言われてる、言われてる。
近所のコンビニやスーパーでは、要注意夫婦で有名だったようです。
最近は、警察がマンションを何度も巡回するようになり、今のところ夫婦も少し大人しくしています。