tuon2366chocoのブログ

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第22回 ちょこのちょこっとしたおはなし

【夏休みの思い出】

 

中学生の時、駅前に大手のスーパーが新しく開店したので同級生のカメコと駅前で待ち合わせて行ってみることにしました。

(カメコの家とちょこの家は駅を挟んで逆方向で、お互い駅までバスです)

 

駅前で待ち合わせしたのは昼前でしたので、とりあえずスーパーの中を見て回ってから、ランチしようという事になりました。

 

ちょことカメコの後ろから、自転車に乗った見知らぬ中年のオッサンがスーーーーっと追い越しました。

そのオッサンが、スーパーの前にある自転車置き場に自転車を置きながら、こちらをジーーーと見ていた事をちょこは気づいてました。

 

駅前からスーパーまで5分以上歩きます。

後日知った事ですが、その間、自転車に乗った見知らぬオッサンがずっと後ろからついて来ていた事は、カメコも気づいていたらしいのです。

 

4階建てのスーパーでしたので、1階からエスカレーターに乗って、屋上に上がりました。

その時例の自転車の中年オッサンが、ちょこ達の後ろからエスカレーターに乗って近づいて来ていたのです。

 

薄汚いグレーのジャンバーを着て、ヨレヨレのズボンをはいた年齢不詳の中年のオッサンです。

顔は色黒で、無精髭を生やしていて、浮浪者に見えました。

 

「屋上で写真撮ったるからモデルになってくれへん❓」

 

親しそうにカメコに話しかけてくるので、ちょこはカメコの知り合いのオッサンだと思って、カメコに、

「どうするの❓」

と聞くと、カメコもちょこに、

「どうする❓」

って聞いてきました。

 

❓❓❓

 

ちょこ、不審に思ってカメコに、

「知り合いちゃうの❓」

って聞くと、カメコも、

「ちょこちゃんの知り合い違うの❓」

 

お互い無言で、『ちゃう❗️ちゃう❗️ちゃう❗️』

 

カメコが咄嗟の機転で、

「私達今からトイレ行くので、写真は結構です❗️」

って、ちょこの手を取って2人でトイレに走りました。

 

ちょこは、女子トイレの中で、カメコに聞きました。

「知り合いと違うねんな❓」

「ちょこちゃんこそ❗️」

「「違う❗️違う❗️違う❗️」」

 

トイレから出て来たちょこ達に、待ってました!って感じでオッサンが近づいて来ました。

 

手にカメラを持っています❗️

 

「おじさん、こう見えて写真撮るの上手やねんで」

 

そんなん知らんがな❗️

 

オッサンを無視してエスカレーターに乗って下っていると、背の小さなカメコの肩を掴もうとオッサンの手が伸びたのです❗️

 

ちょこがカメコに叫びました。

「逃げろーーーーーー❗️❗️❗️」

 

カメコは、素早く下りエスカレーターから逆方向の上りエスカレーターに乗り換えて屋上まで上がりました。

ちょこは、そのままエスカレーターで地下の食料品売場まで下りました。

 

『ヤバイヤバイ、あのオッサンヤバイ❗️』

 

当時はケータイも持ってませんから、このままカメコに会えなくなるんじゃないかも…と不安でオロオロしていると、カメコがやって来ました。

「ちょこちゃん❗️ 今オッサン1階におる❗️どうする❓」

 

カメコが無事だったので、ホッとしましたが、カメコがますます不安な事を言うのです。

「オッサンの目的はちょこちゃんやで❗️」

「ハーーーー❓ なんでーーー❓」

「そんなん知らんやん❗️ 私達が上と下に別れた後、オッサンちょこの後ついて下に行ったから、私追いかけてきてん」

 

『ちょこヤバイ❗️ヤバイ❗️ヤバイ❗️』

 

「今日はこのまま帰ろう❗️」

ちょこは言いました。

「そうしよう❗️」

カメコも賛成しました。

 

一番の問題は、

「スーパー、どうやって出る❓」

でした。

スーパーには正面入口しかありません。

そこにヤバイオッサンが待ち伏せしているのです。

 

「このスーパー、裏から出る方法ありませんか❓」

カメコが地下にいる買い物客に聞きました。

「ああ、それやったら屋上に上がって、屋上から外に出る方法あるよ」

と親切に教えて貰いました。

 

つまり、屋上は駐車場スペースになっていて、屋上から車用スロープ使って1階まで下りるという案でした。

 

いざやってみると、正面入口の横が駐車場の入口になっていたので、どうしても正面入口の前を通らないと駅まで行けないのです。

 

「オッサン入口におった❗️❗️」

正面入口の前を通る直前、カメコが小声で叫んだので、ちょこも小声で叫びました。

「駅まで走るで❗️」

 

2人は、駅まで黙って走りました。

 

お互い無言で、それぞれのバスに乗りました。

 

バスの中は、ちょこ1人だけでした。

カメコが乗っているバスを見ると、かなり沢山の乗客がいました。

 

もしかしてヤバイオッサンが追いかけてバスに乗り込んで来るかもしれない。

なんて思いながら、バスはちょこ1人乗せて、バス停まで安全に運んでくれました。

 

ちょこが家に帰ると、共働きの家族ですから、小学生の妹のたばこちゃんが一人で留守番していました。

 

しばらくしてカメコから電話がありました。

「一応、警察には匿名で電話しといたから、安心して」

「ありがとう」

 

カメコは、この日の出来事を夏休みの宿題『絵日記』に描いて提出したみたいです。

 

担任の先生からちょこに、

「カメコちゃんと一緒にスーパーに行ったお友達って、ちょこちゃんの事やろ?」

って尋ねられましたが、

「いいえ違います」

と嘘を言いました。

 

だってその日は、お父さんとの約束で、妹のたばこちゃんと一日遊んでいた事になっていましたから。

その日の絵日記にもそう描いて提出したのに、なんで担任の先生は気づいたのだろう?

 

この後トラウマで、このスーパーには高校生になっても一人で行けませんでした。

一人で行けるようになったのは、社会人になってからです。

 

今はこのスーパーも無くなりました。

 

中学時代の夏休みといえば、この日を思い出します。

 

中学生の皆さん、夏休みも残り10日になりました。

楽しんでるかな?

宿題終わってるのかな?

良い思い出、作って下さいね。