tuon2366chocoのブログ

今のところ何でも有りのブログです。

第60回ちょこちゃんのちょこッと怖い話

【怖い話・2019】

 

怖い話part2です。

 

今回のお話は、ちょこのママかにこさんのお話です。

 

前半の前置きは、ちっとも怖くないです。

後半の病院での話は少し怖いです。

怖い話が苦手な方は大きく区切ってあるので、その先はスルーして下さいね。

 

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死神

 

 

ちょこのパパさんが入院退院を繰り返して、生涯最後の入院時の話です。

 

(パパさんは、十年以上もの間『透析』をしていました)

 

パパさんが入院して数日後の土曜日です。

 

夕方、家の電話が鳴ったのでちょこが出ました。

相手は入院中のパパさんでした。

シワッシワのガガガ声で、

「ぢょごぢゃんが?

悪いけど、オレの着替えとスリッパと洗面道具持って来てくれへんか。

オレ、入院してからずっと同じパジャマやし、顔も洗われへんねん」

 

「え?

そりゃ大変やわ。

明日日曜日持って行くわな」

 

「おお、頼むわ」

安心したのか電話はすぐ切れました。

 

そこへ、ママのかにこさんが帰ってきました。

 

「お帰り〜。

今パパさんから電話で、着替えとスリッパと洗面道具持って来て欲しいって」

 

「は?

今パパの病院から帰って来てんけど。

着替え?

入院中は、病院のパジャマ着てなあかんねんで。

スリッパも洗面道具も置いてあるよ」

 

え?そーなん?

かにこさんが帰っちゃって寂しかったのかな?

とりあえず、明日見舞いに行って慰めてあげよ〜と。

 

翌日曜日、町内会の掃除の日だったので、かにこさんは朝から大忙しでした。

 

そこへ、パパさんが入院中の病院から電話がかかってきました。

この時も、電話に出たのはちょこでした。

 

「オタクのお父さん、水ガブ飲みして大変です!

他人のベッドに寝たり、他人の点滴外したり、このままだと転院してもらいますよ!!」

 

相手は、かなり怒っておられる様子。

 

パパさんは、透析患者ですから、水分は毎日決まった量しか飲めません。

「氷とか少しくらいは許してもらえませんか?」

「ダメです!!」

「ですよね〜。

すみません。

今から病院行くので父に言い聞かせます」

と言って電話を切りました。

 

 

その日、見舞いに行った際、病院から、

「パパさんを個室に入院させて、家族の誰かが24時間見守って下さい❗️」

と、言われたのです。

 

とりあえず、初日の日曜日は、かにこさんが付き添う事になりました。

 

明日からどうしようかという緊急の相談を3兄妹(ちょこ、兄のかしわくん、妹のたばこちゃん)でしました。

 

 

兄のかしわくんは結婚しています。

家族の誰一人、自由な時間のある者はいません。

 

相談の結果、かにこさん→かしわくん→ちょこ→たばこちゃん→かにこさん→かしわくん…の順番で頑張ろう!ということになりました。

 

次の日は月曜日。

 

ちょこは当時、派遣会社の派遣社員として働いていました。

 

翌朝、ちょこが派遣先の会社に到着すると、男性社員が、

「仕事の部品が届いてなくて仕事にならないから、今日は午前で終わり。

悪いけど、ちょこちゃんは昼に届く部品を受け取ってから帰ってくれたまえ」

 

結局、昼休みにはちょこを残して誰もいなくなりました。

 

一人取り残されたちょこは、昼休みに妹のたばこちゃんに電話しました。

 

「ちょこちゃん、丁度良かったわ。

今、かにこさんから電話で、パパさんが危篤らしいねん。

私、今から病院に向かうから。

ちょこちゃんは、仕事早退して病院に来てな❗️」

 

「え?」

 

「そういうことやから。

じゃあ、病院で」

たばこちゃんは、言うこと言ったらサッサと電話を切りました。

 

ちょこは、とりあえず派遣会社に電話しました。

 

「突然ですが、父親が危篤で、、、。

今すぐ帰らせて下さい」

 

「へ?

はぁーーーー?」

冗談だと思ったのか、返事は冴えない感じでした。

とりあえず、荷物さえ届けば帰るつもりでしたが、昼休みが過ぎても荷物は届きませんでした。

 

15時過ぎても荷物が届きません。

代わりの派遣社員も来ません。

 

再度、派遣会社に電話しました。

「突然言われても困ります。

代わりの人はいませんよ」

はーーーーーーー、、、(;_;)

 

派遣先の本社に電話しました。

「昼休みに荷物が届くって聞いて待ってるんですけど、もう3時過ぎてます」

「報告が遅くなってすみません。

運送会社のトラックが事故に遭いまして、トラックを変えて、今そちらに向かってます」

「じゃあ、待ってたら絶対に届くんですよね」

「はい」

 

16時過ぎに、派遣会社の社長が一人ヒョッコリやって来ました。

 

「交代しよ」

 

え?

社長が派遣先のお留守番ですか?

もちろん帰らせてもらいますけど、、、

 

「お先に失礼します」

 

病院に到着したら、家族全員集まってて、かにこさんが病院の中でちょこに怒鳴りました。

「何時やと思ってんの❗️❓」

「はい、19時過ぎてます」

 

社長に引き継ぎしたり、なんやかんや事務処理して会社を出たら、17時過ぎてしまいました。

その上、電車の乗り継ぎが悪くて、2時間近くかかってしまいました。

 

(後日知った事。荷物は夜9時過ぎて届いたそうです)

 

ションボリしているちょこに、かしわくんが、

「パパさん、昼間透析中やったから、俺らもまだ会ってないねんで」

「そうなん?」

かしわくん夫婦もちょこ到着の少し前に病院に来たようでした。

 

怒ってるかにこさんを先頭に、かしわくん、ちょこ、かしわくんの奥さんが病室に入ると、ベッドにグッタリと横たわるパパさんがいました。

パパさんの横で、たばこちゃんが一人泣きベソかいて立っていました。

パパさんの顔を覗くと、大きな瞳をカッと開き、黒目が頭のテッペンを見ていました。

 

一目で、

『あ〜少し遅かった!!』

と、思いました。

 

目は開けていますし、心臓も動いていますが、意識が全くありませんでした。

 

何度声をかけても、反応はありません。

 

お医者様から、

「今日が山です」

と、言われました。

 

パパさんは、0時に亡くなりました。

 

大きな瞳は開いたままでした。

 

亡くなる直前、パパさんの左目から一筋涙が流れました。

ずっと手を握っていたかにこさんが、

「たった今、グッて力入れて私の手を握り返してくれた」

って、泣き崩れました。

 

たばこちゃんが泣きながら、そっと目を閉じてあげていました。

 

お通夜は明日夜、葬儀は翌日午前中に決まりました。

とりあえず、パパさんを葬儀の日まで、家に連れて帰ることになりました。

 

家の片付けの為に、かしわくんと奥さんとたばこちゃんが先に家に帰ることになりました。

 

その間、かにこさんとちょこはパパさんの側に残る事になりました。

 

病室のパパさんの側にいると、看護師さんがかにこさんに、

「帰られるご用意させていただきますので、病室の外で待っていて下さい」

と言ってきて、かにこさんとちょこはナースステーションの前で待つ事になりました。

 

二人で椅子に座って待っている間、

「パパさん、いつ危篤状態になったん❓」

ちょこが詳しい状況をかにこさんに聞きました。

 

《ここから先は、かにこさんから聞いた怖い話です》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

個室に入院したパパさんと付き添うかにこさん。

 

部屋の中を簡単に説明します。

 

窓際に介護用ベッド←パパさんが寝る🛌、

ベッドを隠す白いカーテン、

簡易用のベッド←かにこさんが寝る🛏、

出入口用のカーテン、

病室の扉。

 

夕食後しばらくしてから、パパさんがかにこさんに、

「背中痒い。

かいてくれへんか?」

と言ってきました。

 

パパさんは、血が出ると血がなかなか止まらない軽度の血友病

指でかくと血が出る可能性があります。

 

看護師さんに伝えると、冷たいタオルで背中を拭いて下さいました。

 

看護師さんが部屋を出る時、

「扉を開け閉めすると音が鳴るので、扉は開けたままにしておきますね。

その代わり、カーテンしておきます。

また何かあったら、呼んで下さい」

と、出入口用のカーテンを閉じて、扉を全開のまま出て行かれました。

 

パパさん、気持ち良くなったのか、

「オレ、今のうちに寝るわ。

かにこさんも今のうちに寝たらいいよ」

 

と、優しく言ってくれたので、かにこさんも寝ようと思いました。

 

(この時の時間は不明です)

 

かにこさんは、パパさんがベッドに横になって、ベッド脇の電気も消えたのを確認して、ベッドの横の白いカーテンを閉じました。

 

そして、かにこさんは、簡易ベッドに横になりました。

 

部屋の電気はつけたままです。

 

しばらくウトウトしていると、病室の扉側のカーテンから人が入って来る気配で目を覚ましました。

 

黒い服を着た男の人でした。

 

『え? 誰?』

 

ショボショボさせた目を大きく開いて男の人を見ました。

 

その男の人の後から、また黒い服を着た男の人が入ってきました。

 

『え? 何?』

 

呆然と見ていると、三人目の黒い服を着た男の人が入って来ました。

 

三人共かにこさんを見ようとせず、パパさんのカーテンの中へ消えて行きました。

 

『へ? 何何何、、、❓❗️』

 

四人目の黒い服の男の人が入って来ました。

四人目の男の人の顔をはっきり見ました。

目は釣り上がっていて、鼻は鷲鼻でした。

皆んなと同じ黒いスーツに黒いネクタイ。

 

その四人目も、パパさんのカーテンの中に消えて行きました。

 

き、、、消えた!!?

 

とっさに思いついたのが、

死神、、、❗️❓』

 

パパさんを助けなくちゃ❗️

 

でも、体が自由に動きませんでした。

 

もがいてもがいて、やっとこさ体をベッドから起き上げて立ち上がりました。

 

シャッっと、パパさんのベッド横の白いカーテンを開けました。

 

もちろん、黒い服の男性なんて誰一人いません。

 

「パパ!!」

「パパ!!」

叫びました。

「ガウ〜、ガウ〜、ガウ〜、、、」

異様なパパさんのイビキが聞こえてきました。

「パパ❗️」

「パパ❗️」

いくら呼んでも起きません。

パパさんの寝顔は、目を大きく開き、黒目が頭のテッペンを見ていました。

 

異様な寝顔に、かにこさんはナースコールするのも忘れて、ナースステーションに駆け込みました。

 

先程背中を拭いて下さった看護師さんが、かにこさんと一緒に部屋に駆けつけて来てくれました。

 

看護師さんもパパさんの異様な寝顔に驚いたのでしょう。

「パパさん!!

パパさん!!

しっかりして下さい!!」

パパさんの体を揺さぶったり、頰を叩いたりしました。

 

パパさんは、それきり意識は戻りませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから先は、かにこさんは何も覚えていないそうです。

 

気づいたら、昼になっていて、慌ててたばこちゃんに電話したそうです。

 

「パパさんが危篤やから、皆に連絡して」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某病院で本当にあった話です。

 

 

 

 

 

 

今回のBGM

 

童謡『一年生になったら』

 

歌詞に注目して下さい。

 

♪一年生になったら 一年生になったら

友達100人できるかな

100人で食べたいな

富士山の上で おにぎりを

ぱっくん ぱっくん ぱっくんと♪

 

 

う〜ん、友達100人と自分と合わせて、101人のはずですよね。

 

一人足りないのは、富士山に登る途中で死んんじゃった、、、⁇

 

戦時中に作られた歌です。